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<title>百けん先生 月を踏む</title>
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<title>南極(人)</title>
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<description>「どすこい（仮）」の続編というか、並列的な作品。
肩の力を抜いて読み進むことができます。
京極先生はこんな一面もあるのだと楽しめる作品です。

「どすこい（仮）」では、生暖かいような恐怖感があったの...</description>
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「どすこい（仮）」の続編というか、並列的な作品。
肩の力を抜いて読み進むことができます。
京極先生はこんな一面もあるのだと楽しめる作品です。

「どすこい（仮）」では、生暖かいような恐怖感があったのですが、
今回はとことんギャグにこだわった感があります。
内容の個人的好みで、星一つマイナスです。

しかしながら、今回引用した作品の中でも特に平山夢明氏の「独白するユニバーサル横メルカトル」を基にした、
タイトルと表紙の絵のオマージュ（パロディ？）は最高です。
その他のチョイスもニヤッとしてしまいます。

このタイプの路線はぜひ続けて欲しい！

京極夏彦は作品の二面性という点において、現代の遠藤周作となると思われます。
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<title>美しい時間 (文春文庫)</title>
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<title>アンフィニッシュト (文春文庫)</title>
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<title>呪眼連鎖</title>
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<description>刑務所の独房から始まった呪い、これはホラー？と思わせる序章。
弁護士、伊崎も、この呪い取りつかれてしまう。
呪いを解く鍵は『タイゾウ』というかつての受刑者らしい。
呪いから逃れるため、伊崎たちは過去...</description>
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<![CDATA[
刑務所の独房から始まった呪い、これはホラー？と思わせる序章。
弁護士、伊崎も、この呪い取りつかれてしまう。
呪いを解く鍵は『タイゾウ』というかつての受刑者らしい。
呪いから逃れるため、伊崎たちは過去を手繰りだす。

北海道開拓の暗黒史、囚人たちの強制労働の様が、ありありと描かれている。
この史実を知らなかったので、とても引き付けられた。
歴史ものは苦手たが、ぐいぐい読み進む。
これだけでも小説として成り立つのではないかと思うぐらいの出来。
それに比べると、現代の伊崎の人物像がぼやけているように感じる。
ほのかな思いを寄せる女性弁護士は必要だったのだろうか？
アイヌ文化についても、なかなか面白く、北海道開拓とアイヌの生活の関わり、対立から共生への流れた読み取れた。
作者がプロローグとエピローグで仕掛けたテーマ、そこだけで良かったのに、何度も繰り返しすぎたかも。
くどくなってしまい、エピローグの良さが薄れてしまいます。
あちこち荒は目立ちますが、これからが期待の作家さんだと思います。
巻末の批評通り、この出来であったならば堂々の大賞受賞であったでしょう。
この方も現役のお医者さまだとか、このミスはお医者様がお好き？北海道の開拓史を背景にしたホラーというアイデアは素晴らしいと思う。歴史の中に埋もれた人々に光を当てることは、歴史説の大きな仕事の１つだろう。しかし、ホラー小説として描いたことで、かえって力強いテーマになったとも言える。
長い歴史の中には無数の悲劇があり、無念な思いで世を去った無数の人々がいたはずだ。そのような人々の人生を描くには、呪というような形がふさわしいかもしれない。
ただし、身に迫るような恐ろしさはこの小説にはない。だから読みやすいとも言えるが、私としては、追いつめられるような怖さも期待していた。元々、時代物やホラーは、あまり興味がありませんでした。でも、たまたまプロローグを読んでみたら・・・続きが気になって、購入してしまいました。網走刑務所を観光したことはあったけど、こんなに北海道で暗い歴史があったとは驚きです。  それぞれの登場人物の背景が、なかなか面白く、考えさせられました。  話の内容も自分が想像していたのとは違って、予想もしない展開に驚きです。特に明治編は歴史物が苦手だったはずなのに、一気に読んでしまいました。宝島といったら、現役医師・海堂尊さんによるチーム・バチスタがベストセラーになっていますよね。後書きによると、これがデビュー作となる桂修司さんも現役の医師らしい。なのに、本作は医療モノではなく、サスペンスラーなのです。
医師のデビュー作なのにホラー？ 新しいモノ好きな私はつい買ってしまいました。

結果は期待以上でした。
文章はちょっと硬いですが、読み進めるうちに慣れてきます。実際にあったという北海道開拓の暗黒史からアイヌの伝説、不滅のミイラにまで至るスケールの大きい物語で、読者を飽きさせません。何とも言いようのない満足感でした。
妙に気になるデビュー作です。
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<title>コミック怪 2008年 冬号 Vol.05</title>
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<description>いつの間にか季刊になっていた『コミック怪』A^^;

さて、表紙にもなっている『魍魎の匣』ですが、
今回ついに京極堂の妖怪蘊蓄が描かれてます。
漫画ゆえに原作とは異なる言葉遣いやセリフの改変および端...</description>
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いつの間にか季刊になっていた『コミック怪』A^^;

さて、表紙にもなっている『魍魎の匣』ですが、
今回ついに京極堂の妖怪蘊蓄が描かれてます。
漫画ゆえに原作とは異なる言葉遣いやセリフの改変および端折りは、まあ仕方ないでしょうが許容範囲だと僕は思いました。
原作だと茶化したように描かれているところが漫画だと鬼気迫る感じで、そのギャップも改変らしく笑わせてもらいました。

榎さんの男前と破天荒の両立は見事だと思います。
コマやセリフが少ない割に話への割り込み方や表情の1コマで巧く表現されています。
マジ顔にラフな不断着と、こりゃ確かに見蕩れるわ、と。

展開は御亀様や『母への詫び状』まで、原作『魍魎の匣』(講談社ノベルス)419頁までが描かれています。
次の号の掲載で3巻が発売ですから、魍魎の匣(1)で記した通り、やっぱり4巻で完結しそうな感じです。

最後に1つ不満を。
表紙にアニメ『魍魎の匣』の宣伝が印刷されていますが、これが帯ではなくて表紙にじかに印刷されています。
御蔭で志水アキが描くえらく格好いい京極堂の表紙絵が台無しです。

魍魎の匣(1)を読む限り、本誌に掲載されているカラーページは当然ながら白黒になっている箇所がありました。
また、現在5冊まで発売されている本誌と、2冊発売されている単行本を比較すると、本誌の表紙を全て収録してくれるようではなさそうです。
なので、漫画魍魎の匣に興味があり、尚且つ表紙やカラーページもおさえておきたいかたは購入しておいたほうが宜しいと思います。
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<title>この想いの果ては</title>
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<title>ふたりの季節</title>
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<title>日本人を殺せ</title>
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<title>ミロクの巡礼 グイン・サーガ124 (ハヤカワ文庫JA)</title>
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<description>ミロク調査ためにヤガへむかうヨナの道中をつづっています。
ナリスの墓参りとか、ちょっとなつかしくなりました。
どっちかというとエピローグみたいな静けさ。

ブランもカメロンのもとへ到着して、ヤガへむ...</description>
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<![CDATA[
ミロク調査ためにヤガへむかうヨナの道中をつづっています。
ナリスの墓参りとか、ちょっとなつかしくなりました。
どっちかというとエピローグみたいな静けさ。

ブランもカメロンのもとへ到着して、ヤガへむかうことになる。

この巻の最後では、スカールもでてきます。

ヨナとスカールとブランは、イシュトヴァーンに
ゆかりのあるものどうし、きっとヤガでごたごたを
繰り広げてくれるんだろうな！

この巻は、グインもイシュトもでてこないです。
ヤガでこのふたりがからむことはなさそうな。。。。

とすれば、はなしはどこへむかっていくのか？
うーん。


グインサーガが既に完結している物語であれば、また読み方も違うが、著者が肝臓癌で手術したことを知っている読者は、この物語が未完で終わることを懸念しながら読んでいる。もちろん著者自身が一番不安に思っていることではあるのだろうが・・・。
これまで物語がどんどん延びても何とも思わなかったが、あとがきで体調のことを書かれると、これまでのように純粋に楽しめない。
著者の本復と物語の大団円を切に望む。前巻でのイシュトの野望がどう進展するのか期待していたのですが、イシュトもグインも登場しません。フロリーとスーティを追ってゴーラからはブラン、パロからはヨナが旅立ちます。
ヨナの述懐が必要以上に多く、モース博士とのやりとりなどもあり、物語の進行は遅いです。
ラストのミロクの巡礼一団に降りかかる悲劇も「どうなんだろう」という感じがしました。
ヨナ編ははやく切り上げてイシュトやグインで話を進めてもらいたいです。
 今年最後のグイン・サーガです。
 今回は「ミロクの巡礼」というタイトル通りでミロクの巡礼の旅を通しながらのダネイン大湿原の観光ツアとなっております。。。つまりは、ストーリーは大枠で進んでおりませんし、タイトルから「あ、フロリーとスーティのその後だね」と思っていたらば二人はまったく出て来ないという予想外のオチまでついてきます。
 では誰が旅しているのかというとヨナ・ハンゼ博士です。彼が、物語に大きく今後影響してきそうなミロク教の聖地であるヤガに向かって旅をしていきます。その旅の中で色々と回想したりなんやかやをしていき、物語の最後でとある人物と出会うことになるというのがこの巻のお話。本当に進みません。
 感想を率直にいえば、もうちよっとはストーリーを進めてもいいかなと思うのですが、今回旅したダネインはグインサーガの初期の初期から名前だけはたびたび出てくるものの本編では描写がなかった地区なのでそう考えればまぁこれはこれでよいのかな。ただしダネイン大湿原って本当に見るべきものがない土地なんで、やっぱりもう少しストーリーを進めてもらってもいいでしょうか。
 この巻の最初の方でカメロン船長とかが出てくるあたりはびしっとストーリーが引き締まるのですが、後半はまさに観光案内でした。ミロク教のありようやら、最後の最後でヨナが出会う出来事から何を読み取って行くのかどういう風にミロク教が変質・世の中に浸透していくのかを推理想像していく楽しみはあるものの、もう少し進んで欲しかったです。 
 著者がいうには、初期のローマ教のようなものとして想定されているようですが、どの国家がそれを庇護するかという話になるとなかなか想像がつきづらいところです。ともあれ、気になるのは著者の栗本薫先生のあとがきのほうで、それを読むとかなり体調がお悪いご様子で、あの栗本薫先生が１時間とパソコンの前で原稿が書けないそうで、それがかなり心配です。本編が終了しないまま終るのではというような事態は避けたいので、無理せず逆にゆっくりとでいいから健康に注意して書いていただきたいものです。全く華やかさのない、地味キャラばかりの1冊。渋いオヤジは出てくるけど、華やかな主要キャラは全く出て来ず、地味キャラのヨナ君の旅がずっと続きがっかり…。おいおい、こんなスローペースでいいの？作者はあとがきにも自分の将来の先が見えないようなことを書いていますが、124巻までずるずる引きずってきたこの長い物語を、責任もって完結する気があるのかいと疑ってしまいます。次巻から購入するときは登場人物と後ろのあらすじをチェックしてから買おうっと。
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<title>女神記  新・世界の神話</title>
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<description>ストーリーテラー、キリノの最新作は濃厚で芳醇な薫りに包まれたおはなしです。エロやグロはほとんど出てこないし、出てきたとしても所詮は神話、そういうのが苦手な方にもおすすめです。

芳醇・・といえばジャ...</description>
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<![CDATA[
ストーリーテラー、キリノの最新作は濃厚で芳醇な薫りに包まれたおはなしです。エロやグロはほとんど出てこないし、出てきたとしても所詮は神話、そういうのが苦手な方にもおすすめです。

芳醇・・といえばジャスミンの香り成分にはとんでもない物も含まれているとか・・学生のころ微生物学で習った言葉「発酵と腐敗はじつは同じ現象」・・・たびたび本編に出てくる風葬の習慣から連想されました。

陰と陽、海と陸、太陽と月、そして男と女・・真逆の性質を持つもの同士が惹かれあい、交わることによってのみ、新しい生命が生まれます。芳醇な愛（エロス）と死んで腐っていくこと（タナトス）は全く同じなのです。

唐突な終わり方も最近は慣れました・・よって☆４つ。
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<title>死刑基準</title>
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まず最初の感想は、失礼ながら文章のレベルがプロの小説家に達していないと思いました。
現役の弁護士さんらしいですが、アマチュアにしては立派な...</description>
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<![CDATA[
ここでのレビューの評価の高さに早速購入して読んでみました。
まず最初の感想は、失礼ながら文章のレベルがプロの小説家に達していないと思いました。
現役の弁護士さんらしいですが、アマチュアにしては立派な筆運びだとは思いますが。

さて、内容ですが、1審はあの程度の内容（証拠）で死刑を求刑しますか？
素人の僕が読んだって、信じ難い。
自白も無く、物証も無く、あやふやな目撃証言だけでしょ？
ちょっとリアリティーが無いですよねえ。

本筋には関係ありませんが、ウイーンでの舞踏会の場面。
あれは何なんでしょう？？
法曹界の人たちって、あんな優雅な生活をしてるんですか？
びっくりするやら、庶民の生活感覚とかけはなれていてうんざりするやらです。
ま、とにかく、この辺のページは全部無用だったと思います。

死刑存置論と廃止論。
この議論は読んでいても面白かったのですが、
小説でやる必要はありませんよね。
筆者は何冊も新書を書いているので
そちらでやった方が良かったのではないでしょうか？

法廷物というのは、ミステリーの1ャンルとして大昔に確立していますので、
その中で新機軸を打ち出すのは困難でしょうね。
でもこの作者は、法律の専門家として専門用語をポンポン使うなど、
それなりに迫力のある場面は書けています。
こういった部分をもっと強調した法廷物を書けば、
自分の分野が切り開けるんじゃないでしょうか？

女性のファッションの描写など、僕には読んでいてチンプンカンプン。
どうなんでしょう？
作者はもしかして、大金持ち？
こっちを削って法廷に集中して欲しいですね。 死刑制度の是非、裁判員制度を意識して、死刑基準という目を引くタイトルにしたのでしょうが（帯にもそう煽っている）、そんな大層なものではありませんでした。どこまでが死刑か否かの基準をめぐる内容なのかと思っていました。

 レイプは女性にとって、たいへんむごいものであるはずなのに、たいした罪に感じられません。死刑制度については、冤罪があるからダメだ程度で、この程度の内容だったら改めて考えるきっかけになりません。

 リーガルサスペンスとありますが、狭い世界の恋愛関係で起きた話で、法廷で二転三転する話ではありません。最後の決め手となる物だって、それは安直でしょう。

 そういうイメージを持たずに、ただのミステリーとして読むのだったら、逆転もあって、面白い小説だとは思いますが、普通のレベルだと思いました。死刑基準、一気に読み終えてしまいました。個人的に推理小説を読む時は、犯人を想像したり、考えながら冷静に読む質なのですが、今回はそうではなく、ストーリーに引き込まれてしまい、最後までいってしまった感じです。あまり登場人物が複雑だと、記憶力が悪いのでいちいち人物紹介に戻るのですが、それだけで入り込みにくいです。複雑なものが好きな方はそういいのも気にならないでしょうが。この作品は私にはちょうどよかったです(笑)。海外シーンでは風景、情景がとても美しくて、大衆離れした気品があるので、綺麗過ぎるなあ、とも一瞬感じたりもしましたが、法廷でのやりとり、殺害現場の悲惨な描写などは、まさに手に汗握るという感じで、かえって、先の美しさとのギャップでメリハリがあり、現実的な方が強調されているように感じられました。描かれる三希子や秘書の万葉子、など描かれる女性達ですが、正統派といった印象ですが、品格の問われているこの頃だけに、好感がもてました。我が身を省みたりも、、。クラシック音楽が多くの場面で登場するのですが、せっかくなら曲そのものも浮かんでくるくらい、教養がほしいところでした。どんな曲かわかれば、さらに情景に引き込まれたと思うと、自分のレベルが足りないのが残念です。また、現在の法制度の有り様もわかりやすく、とっつきやすい印象受けました。高官達の人間臭さなんかも、ラストに近付くにつれて、切なくなってしまいました。最後の水戸の壮絶な尋問シーンは読んでいて一緒に熱くなってしまいました。それを静めるかのような、最後のエピローグですが、さわやかに締め括られてるのは、個人的には大好きなラストです。
長々と書いてしまいましたが、おすすめです。大変面白く、どんどん読み進んでしまいました。
「素晴しい」の一言です。久しぶりに面白い小説に出会えた思いです。
死刑廃止論と存続論のそれぞれの主張が作品内に出てきますが、読んでいて考えさせられました。
作者の本業は弁護士業ということですが、この作品は読者を惹きつけるウマイ構成に仕上げられており、作家としての能力にも感嘆すら覚えます。
面白かった！
硬い題名からして難しいのかと思ったけど、次が気になって、気になって、結局2日であっという間に読み終えた。

特に法廷シーンが臨場感あふれて、スピード感あり。さすが著者は弁護士。

もし、こんなふうに裁判が進んだら・・・自分が裁判員だったら・・・と想像しながら読むとなかなかコワイ。

映画化希望。

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<item rdf:about="http://bb-book010.electro-search.com/detail/13/4043909020.html">
<title>螺鈿迷宮 下 (角川文庫)</title>
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<description>天馬君の人のよさもあって病院内部の謎が少しずつ
改名されていきます。
ここにきて白鳥の存在がとにかく面白いですね。
この下巻は勢いもあって、息もつけないくらいの
展開を見せてくれます。
上巻がやや退...</description>
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<![CDATA[
天馬君の人のよさもあって病院内部の謎が少しずつ
改名されていきます。
ここにきて白鳥の存在がとにかく面白いですね。
この下巻は勢いもあって、息もつけないくらいの
展開を見せてくれます。
上巻がやや退屈なので、上下に分ける必要はなかった
ように思います。
そして真実と天満君との繋がり。ここは読ませましたね。
なかなかのものです。現実の医療業界の問題を内容に織り込む小説を書くこの著は、ここでは｢終末期医療｣の問題を取り上げていますが、読者にただ単にその存在を認識させるだけでなく、その裏に潜む｢闇｣の根の深さを認識させられるような描かれ方をしています。 
そのため、小説自体は上下通して比較的短時間で読み終わったものの、その｢問題｣の重さはしっかりと受けとめることができました。 

また、ミステリーとしても、出だしから数々の｢謎｣を読者に提示し、｢この先どうやって謎が明らかにされるんだろう｣と読者を引き込む力がありましたし、結末で謎が明らかにされた時、それまでの中に伏線がバランスよく配置されていたことに気づかされました。 
現実の医療業界の問題点を、主軸をぶれさせることなくミステリーと融合させている、その完成度が今までで一番高いと感じます。 

また、キャラクターの面からみると、『チーム･バチスタの栄光』『ナイチンゲールの沈黙』で、田口・白鳥コンビのやりとりの面白さを楽しんだ方々にとっては、こちらはそのコンビのやりとりはなく、田口自体、ほとんど出てこないため、いささかの寂しさを覚えるかもしれません。 
しかし、その2作で名前は出ていた｢氷姫｣がついにここで登場します。切れ者なのか、天然なのかわからないそのキャラクターは、田口、白鳥にはない不思議な存在感。一読の価値ありです。 適当に本を取って買ったら下巻でした。
この薄さで上下巻に分けるのはないよ〜カドカワさん。
下巻だけでも白鳥の面白さは味わえますし、秀逸な後書きでストーリーの補填はできたので
普通に楽しめました。
氷姫の活躍を見たい人は上巻から、３、４時間の暇つぶしをしたい人は下巻だけでも大丈夫です。オリジナルは、2007年11月30日リリース。海堂氏はいつも小説というメスで日本医療の患部はどこか、を白日の下に曝す。『ジーン・ワルツ』では産婦人科医がなぜ激減したかだけでなく、明治時代のまま変わらない法律の矛盾や、アンケートばかりとっている厚生労働省の逼迫した現実への無反応・無為無策さ、名ばかりの少子化対策といったあらゆるものの問題点を全て提示していた。『ジーン・ワルツ』が人間の『誕生』への問題提起であるとすると、本作は人間の『死』に対する問題提起として書かれている。そしてこの2つの小説は対となって構想されたのでは、と思える。 

デビュー作の『チーム・バチスタ・・・』で既に死者へのMRI検査の重要性を説いているが、本作では医者とは切っても切れない『死』の問題と、現代医療にとって『死』とはどのような存在なのか、を読むものに気がつかせる。 そして頭を過ぎるのがマイケル・ムーアの『シッコ』だ。アメリカ医療の酷さはどことなく今の日本の医療の先の姿のように思えてならなかった。 

ここに登場する桜宮病院の院長の言葉、『医学とは屍肉を喰らって生き永らえてきた、クソッタレの学問だ。お前にはそこから理解を始めてもらいたい。医学の底の底から、な』が、この作品を象徴している。厚生労働省の考える『死』、病院の受け止める『死』、自殺志願者の『死』、末期癌患者の『死』・・・どれも同じ『死』であるはずなのにこの作品では違って感じられる。それは各々の『生』が螺鈿のように様々に光り輝いているからなのかもしれない。圧倒的な読後感を残す傑作である。
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<title>螺鈿迷宮 上 (角川文庫)</title>
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<description>天馬大吉というおめでたい名前の落ちこぼれ医学生が
幼馴染の記者別宮から桜宮病院に潜入して欲しいと
依頼を受ける。
ボランティアの名目で病院に向かった天馬だが、姫宮と
出合い、怪我をしてしまい患者様に...</description>
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天馬大吉というおめでたい名前の落ちこぼれ医学生が
幼馴染の記者別宮から桜宮病院に潜入して欲しいと
依頼を受ける。
ボランティアの名目で病院に向かった天馬だが、姫宮と
出合い、怪我をしてしまい患者様になってしまう。
不自然な死亡が続き、天馬はそれとなく探りを入れる。
謎ばかりの病院で、看護師もあまり見かけない。
病院の中で何が行われているか、ワクワクドキドキ
します。
章立ても短いのでグイグイ引きこまれていきます。現実の医療業界の問題を内容に織り込む小説を書くこの著者は、ここでは｢終末期医療｣の問題を取り上げていますが、読者にただ単にその存在を認識させるだけでなく、その裏に潜む｢闇｣の根の深さを認識させられるような描かれ方をしています。
そのため、小説自体は上下通して比較的短時間で読み終わったものの、その｢問題｣の重さはしっかりと受けとめることができました。

また、ミステリーとしても、上巻から数々の｢謎｣を読者に提示し、｢この先どうやって謎が明らかにされるんだろう｣と読者を引き込む力がありますし、伏線の張り巡らし方もバランスがいです。
現実の医療業界の問題点を、主軸をぶれさせることなくミステリーと融合させている、その完成度が今までで一番高いと感じます。

また、キャラクターの面からみると、『チーム･バチスタの栄光』『ナイチンゲールの沈黙』で、田口・白鳥コンビのやりとりの面白さを楽しんだ方々にとっては、こちらはそのコンビのやりとりはなく、田口自体、ほとんど出てこないため、いささかの寂しさを覚えるかもしれません。
しかし、その2作で名前は出ていた｢氷姫｣がついにここで登場します。切れ者なのか、天然なのかわからないそのキャラクターは、田口、白鳥にはない不思議な存在感。一読の価値ありです。文庫化されてすぐ買い、一日で読み切りました。そのぐらい面白かったです♪
今回は非常に話のテンポが良く読んでいて飽きが来なかったです。

このシリーズでどんどん文庫化されて欲しいです！！いわゆる｢桜宮サーガ｣3作目。私は文庫派なのでまだここまでしか読んでいませんが、他の方もおっしゃっているように、単行本刊行順に読むのが良いと思われます。刊行順については2作目｢ナイチンゲールの沈黙｣文庫版の解説をご参照ください。
この｢桜宮サーガ｣を通して作者が社会に訴えたいことは、死亡時医学検索の重要性とそのためのAi(死亡時画像診断)の導入です。とりあえず3作目まではそうだし、たぶんこの先もそうだと思います。普通、こういうスタンスで書かれた小説って、あまり面白くないし、だんだん飽きられてきますが、このシリーズはキャラクターの魅力とそこかしこに張り巡らされた伏線、そして何より抜群の読みやすさで読者を飽きさせません。アニメ・漫画的な部分、ご都合主義な部分、シリーズの他作品を読まないと訳が分からない会話などがダメな人もいるでしょう。でも、それさえ大丈夫だったら一級の娯楽小説として楽しめます。
文庫版は今のところすべて上下巻各500円。値段といい、厚さ(薄さ?)といい、通勤中のバスや電車の中で浮世の憂さを忘れるのには最適だと思います。
さて｢螺鈿迷宮｣ですが、アニメ・漫画的でありながら(姫宮と薔薇と迷宮から少女革命ウテナを連想したのは私だけでしょうか…)、青バケツに入った臓器の生々しさを感じさせる作品。読み終わった後、もう一度｢バチスタ｣と｢ナイチンゲール｣を読んで、伏線の確認をせずにはいられませんでした。生き残りはどっちなんでしょう？ 長男だと思われる彼の再登場はいつ？ 次作品の文庫化が楽しみです。 東城大学医学部付属病院から舞台を移し、碧翠院桜宮病院でこの物語は展開します。 

登場人物も白鳥・田コンビから白鳥・姫宮（氷姫）コンビに変わり、物語の主な語り手として天馬大吉と言う医学生が登場し活躍します。 

碧翠院桜宮病院は、老人介護センター、ホスピス施設、寺院までを一体化した複合型病院になっています。 
そこには、桜宮巌雄とすみれ、小百合の双子姉妹がいます。 
この物語は、別宮葉子の依頼でそこに潜入した天馬大吉の冒険譚になっています。 

ここで取り上げられるのは、今までのＡｉの問題に加えて「死」の問題が提起されます。「安楽死」の問題にも絡むこのデス・コントロールの問題は、改めて人間にとっての「死」の意味を問いかけてきます。 
この病院にいるのは、他の病院で見捨てられた末期患者たちです。そんな彼らが役務を与えられて、限界を超えて生きながらえています。生命維持装置で生き続けさせられている患者と比べると雲泥の差です。 

その他にも現代的な問題がいくつか提起されています。 
昨今問題になっている「後期医療制度」の問題です。 
この碧翠院桜宮病院が、どうにも経営が立ち行かなくなるのもこの制度のせいです。 
「医療費の適正化」の名のもとに、終末期医療に対する社会保障費がどんどん削られているのです。 

更には、医療問題とは直接関係ない「自殺サイト」の問題も取り上げられます。 

こうした様々な問題を提起しながら、全体としてはエンターテイメントに徹した非常に面白い読み物になっています。 
このあたりのバランスの良さに作者の非凡さを感じます。
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<title>ルー=ガルー 4―忌避すべき狼 (4) (リュウコミックス) (リュウコミックス)</title>
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<description>中々初心者には難関な、京極夏彦のルー＝ガルーを、素材を生かしつつこんなに上手く漫画の表現で魅力ある作品に料理しているのが凄い。普段京極夏彦を読まない人でも読みやすいと思う。</description>
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中々初心者には難関な、京極夏彦のルー＝ガルーを、素材を生かしつつこんなに上手く漫画の表現で魅力ある作品に料理しているのが凄い。普段京極夏彦を読まない人でも読みやすいと思う。
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<title>親不孝通りラプソディー (ジョイ・ノベルス)</title>
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<title>第六の大罪―伊集院大介の飽食 (講談社文庫)</title>
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<title>冥府神の産声 新装版 (光文社文庫 き 12-4)</title>
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<description>ひさかたぶりの北森鴻の一冊は、初期のデビュー作のような位置づけの一冊。 
 物語は、帝都大学の解剖学教室の教授、吉井が都内の公園で刺し殺されたところから幕を開ける。彼は、脳死臨調のリーダーで、脳死の...</description>
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ひさかたぶりの北森鴻の一冊は、初期のデビュー作のような位置づけの一冊。 
 物語は、帝都大学の解剖学教室の教授、吉井が都内の公園で刺し殺されたところから幕を開ける。彼は、脳死臨調のリーダーで、脳死の判定を緩め、日本を臓器移植がもっと出来る国にしようとしている人物としても有名だった。事件後、彼の元弟子で、今では彼と袂をわかったことで医師としての道を閉ざされ医療ルポライターとなっていた相馬が彼の調査へと乗り出す。しかし、彼がそこで見たものはてっきりと彼の後釜となっているはずだった男、九条の零落した姿であった。吉井の死の真相と、九条がホームレスになっていた理由、そして九条の連れていた予言のような事をする少女の謎はどう結びつくのか?
あらすじはここまでとして、結構、医療業界の闇をえぐり出していくハードなミステリーと本書はなっている。医学的にそれが可能かどうかは別として読ませる一冊。特に脳死についてのやり取りは手垢がつきすぎたテーマに思われがちだが、それだけまだガイドラインが確定しないテーマであるとも言えるし、この作品の発表年次を考えれば十分な野心作だとも言える。また、普通の医療ミステリーにせずに違う要素を入れてあるのも物語としての興趣を追加すことでリーダビリティーを高めており、初期作品にしては完成度が高い(海堂尊の「チーム・バチスタの栄光」のような医療ものがここまで普通に出ているような下地はこの当時は絶無だったのではないだろうか)。
 ただ、それでもかなり重く、彼の他の諸作品に比べるとコメディ的な要素や人物が全くいないので、そのあたりは注意が必要か。人の考えを変えるのは自分でもなければ､第三者でもない。
あなたの存在なのだ。
そのことをしみじみとそしてじっくりと考えさせる作品だ。
人が何かの基準を決めるということは非常に難しく、時として悲劇を生むのだ。
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<title>オイディプス症候群〈下〉 (光文社文庫)</title>
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<description>謎の奇病「オイディプス症候群」の蔓延に端を発する、連続殺人事件。

それを背景に、世界的テロリズムと矢吹駆の暗闘は続く。

このシリーズにおける最大の魅力といえば、やはりなんといっても、現代思想家を...</description>
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謎の奇病「オイディプス症候群」の蔓延に端を発する、連続殺人事件。

それを背景に、世界的テロリズムと矢吹駆の暗闘は続く。

このシリーズにおける最大の魅力といえば、やはりなんといっても、現代思想家をモデルにした登場人物たちが、主人公と論戦をくりひろげる部分でしょう。
しかしながら、今回登場のミシェル・ダジール（フーコー）を相手に、主人公・矢吹駆が、あまり刺々した議論を戦わせることはありません。むしろダジールの助けを得て、自分探しをしているようにも見えます。

重要なのは、この『オイディプス症候群』に登場する思想家は、フーコーのほかにもう一人いる、という事です。それはひょっとすると、『テロルの現象学』の著者の、若き日の姿ではないだろうか？と、そのように僕はにらんでいるのだけどどうでしょう。

…なんかこう書くと、いろいろな誤解を生みそうな気もするのだが。
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<title>オイディプス症候群〈上〉 (光文社文庫)</title>
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<description>矢吹駆を主人公とした、笠井潔の重厚なミステリシリーズの文庫最新刊です。
 十年余りのブランクの後に復活したこのシリーズの新作は、いかにも「本格」のミステリ小説らしく、絶海の孤島(ギリシァのミノタウロ...</description>
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矢吹駆を主人公とした、笠井潔の重厚なミステリシリーズの文庫最新刊です。
 十年余りのブランクの後に復活したこのシリーズの新作は、いかにも「本格」のミステリ小説らしく、絶海の孤島(ギリシァのミノタウロス島というミノタウロスの伝説で有名な島)に浮かぶダイダロス館という館で起こる連続殺人事件ものです。ダイダロスといえば、ミノス王の命でミノタウロスの迷宮をつくりあげた人物であり、息子のイカロスは翼をやかれて墜落死したという神話で有名な人物です。そのダイダロスの名をもつ館は、ギリシアのスアフォキンという島から船でいかなければならない、この館しか存在しない孤島に存在し、この島に集められた人物が一人また一人と殺されていきます。そもそも何のために、こんなギリシャの片田舎にアメリカやパリから種々さまざまな十名のゲストが集められたのか、彼らに共通するものは何なのか?
 非常に限定された情報しか与えられないまま読者は、ミノタウロス島まで主人公たちと一緒に運ばれていきます。
 ちなみに、主人公の駆はむろんのこと名前のとおりに日本人なんですが、このシリーズの舞台はずっとフランスのパリであり、今回も一作目から語り部を続けているナディア・モガールという女性をはじめ、登場人物は彼意外はすべて外国人です。
 さて。
 この矢吹駆のシリーズは主人公と物語の構成が非常に独特で、決して万人向けというわけではありません。というのも、主人公の駆は、哲学や思索、世界の成り立ちなどには非常に関心を持ち、文字通り全身全霊をかけてそれに臨みますが、その反面、食事、女性、娯楽などといったものには一切興味がありません。語り手のナディアがいじましいくらいの努力で自分に目を向けさせようとしますが、全くもってそれらは彼にとっては無価値のようで、彼にとっては思索や彼のいうところの「絶対的な悪」と戦うこと意外には何ものも意味をもちません。これほどにストイックで共感されにくい主人公も珍しいでしょう。
 そして、もう一つ特徴的なのはこの作品の登場人物の多くは、それぞれが哲学を持ち、その哲学のためとあればとことん論戦することも辞さず、またその哲学や信念の実践を躊躇しない人物たちであるということも他のミステリ小説とは大きく違うところであろうかと思います。そんなわけで勢い、登場人物たちはいたるところでかなりの紙幅を使って哲学論議や論戦を繰り広げ、時にはその信念に基づいての犯罪が行われたりもします。京極夏彦の京極堂シリーズとそのあたりは似ているといえなくもないですが、あちらがところどころで笑いを入れたり、登場人物の多くは普通の感覚の日本人なのに対して、こちらはそれぞれのメンタリティがあきらかに違うので、異質な感じは拭えないと思います。
 シリーズを通して読んでいると、テロや左翼の思想信条についの論議も多く、そうしたカラーが色濃く出てくるのでとくに日本人には馴染みがない感覚がずっつきまとうと思います。
 どうしてここまでくどくどと前提を書くのかといえば、そのあたりを諒解しないでこの本を読むと、あきらかに途中でだれた感じや眠たさを持ってしまうかと思うからです。よくミステリにおいて、作者の語りたいことはミステリではなく、自分の仮説や思想をミステリという衣で語っているだけだというような非難をされる本がありますが、この本はそういうレベルではありません。明らかに、そうした何某かの説を堂々と作中で開陳しています。であるにもかかわらず、ミステリとしてもしっかりと構築しよう、雰囲気もそれが無理がないようにしようとするあまりに、かなりとっつきが悪く、結果として、それを諒解しないで読めば評価はボロボロにならざるを得ない本だと思います。
 かくいう自分自身も作中でのジェンダーについての考察や、自分と他者関係性についての議論などの一部では退屈してしまった(大変興味深い部分も多々あるんですが)口です。
 が、このシリーズそれ自体は読み応えもあるし、内容も非常に濃いと思いますので、そのあたりを買って注釈や説明を多用しての紹介としました。同じ作者でも「ヴァンパイアー戦争」とかはわかりやすいタイプの超能力者もので、ライトノベル風味満載の物語なので、知らずに読めばきっと別人の作品だと思うくらいです。
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